2013年11月05日

日本は159位

両性の平等
           

先回は、世界経済フォ−ラム(WEF)が「国際男女格差レポート2013」でジェンダーギャップ指数を発表し、日本は136ヶ国中105位になったことを書きました。
 実は日本にはもっと低いランクがあるのです。
 2013年3月に列国議会同盟(IPU)が発表した調査によれば、2012年の国会(二院制の場合は下院)における女性議員比率は188ヶ国中159位でした。

括弧内に女性比率を入れて、順位をみてみましょう。なおIPUの発表では同率の場合でも後順位を複数処理しないので、この点は変えました。

 上位10位の状況は、1位ルワンダ(56.3%)、2位アンドラ(50.0%)、3位キューバ(45.2%)、4位スウェーデン(44.7%)、5位セーシャル(43.8%)、6位セネガル(42.7%)、7位フィンランド(42.5%)、8位南アフリカ(42.3%)、9位ニカラグア(40.2%)、10位アイスランド(39.7%)となっています。
さらには、11位ノルウェイ(39.6%)、12位モザンビーク(39.2%)、13位デンマーク(39.1%)、14位エクアドル(38.7%)、15位オランダ(38.7%)、16位コスタリカ(38.6%)となっており、めぼしいところでは、21位スペイン(36.0%)、29位ドイツ(32.9%)、34位イタリア(31.4%)、44位フランス(26.9%)、64位中国(23.4%)、68位イギリス(22.5%)、83位パキスタン(20.7%)、97位アメリカ(17.8%)、124位ロシア連邦(13.6%)、そして、日本は159位(8.1%)だそうです。
そして世界の平均は20.3%だそうです。
 IPUによれば、ルワンダなど上位国において近年の女性議員が増加している原因はいわゆるクオータ制の導入によるものと分析されています。
 1位になっているルワンダの下院は80議席中、女性は45議席を持っています。しかし、80議席のうち24席が女性特別枠、さらに3議席が青年障害者枠になっています。ですから45議席から24議席を差し引いた除いた残21議席は女性が男性と互角に戦い取った議席だということです。つまり2種類の特別枠を除いた議席は53議席ですから、仮に女性特別枠がなくても53議席のうち21議席は選挙にて勝ち取ったことになり、39.6%になります。立派なものです。
 なお、このランキングによれば日本の衆議院議員480人のうち女性は39人として計算されていますが、実は内閣府が発行した男女共同参画白書によると2012年12月当時の女性議員数は38人なので、7.9%になります。よって、7.9%で160位のボツワナが上がるので、日本は同順位の159位です。

ところで、先回紹介しました世界経済フォ−ラムのランキングでは、日本は総合105位であったのですが、政治的影響力の分野では118位でした。2012年のこの分野でのランキングでは111位だったのが、さらに118位に落ちたのは、昨年の総選挙で、大きく女性議員が減ったからです。
昨年2012年12月16日、衆議院総選挙が行われました。皆さん、ご存じのように、2009年の総選挙以来与党だった民主党が大敗し、自由民主党が大勝しました。この選挙で、それまで54人いた女性議員が16人も減り、38人になってしまったのです。民主党には女性議員が比較的多くいたのですが、自民党は女性議員を増やす考えがありませんでした。このように、どの政党が女性差別解消政策をとっているのかは重要です。
また、衆議院は全体で480議席ありますが、そのうち300議席は小選挙区で当選議員は1人に限定されます。残180議席は比例区で全国を11ブロックに分けて行われます。そして昨年12月の総選挙結果における女性比率をみると、小選挙区では300人の内女性は20人(6.6%)ですが、比例区では180人のうち18人(10%)が女性でした。このようにどのような選挙制度を採用するかによって、議員の女性比率は容易に変更できるのです。
現在自民党はわずか180議席しかない比例区をさらに減らすことを提案していますが、これが実現してしまったら、現在の日本の状況では、さらに女性の議員比率は少なくなることは必至であり、ランクはもっと下がるでしょう。

ちなみに安倍総理は、首相官邸のホームページで、「女性が輝く日本へ」と題して政策を発表していますが、その政策は、「待機児童の解消」、「女性役員・管理職の増加」、「職場復帰・再就職の支援」、「子育て後の企業支援」の4つしかなく、国会における女性議員数の増加や、女性の政治に対する影響力の増加などまったく視野にないようです。

なお、ランキング表は誰でもネットで見ることができます。

                         弁護士 渥 美 玲 子
posted by 金山総合法律事務所 at 14:23| 両性の平等

2013年11月02日

日本は105位

両性の平等
              

2013年10月25日、世界経済フォ−ラム(WEF)が「国際男女格差レポート2013」でジェンダーギャップ指数を発表しました。
日本は136ヶ国中105位でした。
上位10位を見ると、1位アイスランド、2位フィンランド、3位ノルウェイ、4位スウェーデン、5位フィリピン、6位アイルランド、7位ニュージーランド、8位デンマーク、9位スイス、10位ニカラグアです。
 ちなみに先回、「外国の憲法にみる家族条項」を検討しましたので、各国の順位をみてみますと、ドイツ14位、アメリカ23位、フランス45位、ロシア連邦61位、中国69位、イタリア71位です。日本が105位というのが如何にかけ離れて低位か、一目瞭然ですね。
また世界ランキングが100位以下の国を見ると次のようになっています。
 100位カメルーン、101位インド、102位マレーシア、103位ブキナファソ(西アフリカにあります)、104位カンボジア、105位日本、106位ナイジェリア、107位ベリーズ(中央アメリカにあります)、108位アルバニア、109位アラブ首長国連邦、110位スリナムとなっています。あのマララさんを狙撃したタリバンのいるパキスタンは135位です。日本とパキスタンとの違いは、日本とイタリアとの違いくらいです。

このジェンダーギャップ指数ランキングは2006年から毎年10月に発表されています。
 日本の順番を経年的にみると、2006年80位、2007年91位、2008年98位、2009年101位、2010年94位、2011年98位、2012年101位、そして2013年105位でした。つまり日本の女性の地位は良くなっているどころか、悪くなっているのです。
一体、どうして、このようにランキングが下がったのでしょうか。そして、どうしてせめてイタリアのレベル、つまり136ヶ国の中間点までくらいにはランクアップしないのでしょうか。このことを真剣に考えないと、日本の女性はいつまで経っても差別されたままです。

この指数は、世界の約136ヶ国を対象に、男女格差が存在する4つの分野において男性と女性の格差をそれぞれ各国毎に分析したものです。評価の対象となった136ヶ国は、世界中のすべての国ではなく、世界人口の93パーセント以上を占めているそうです。また指数とは、国と国の格差ではなく、男性と女性との格差を問題にしていますから、男性を100として女性がどの程度平等であるかを計数化しています。

まず4つの分野とは、第1に、経済活動の参加と機会(Economic Partecipation and Opportunity)、第2に教育(Educational Attainment)、第3に健康と生存(Health and Survival)、第4に政治的影響力(Political Empowerment)の4つです。
 そしてそれぞれの分野には合計14の変数があり、経済活動の分野では、給与、参加レベル、専門職における雇用など5つの変数、教育の分野では初等教育や高等・専門教育への就学など4つの変数、健康と生存の分野では寿命など2つの変数、政治的影響力の分野では政策決定機関への参加など3つの変数があります。そしてこのレポートではそれぞれの分野ごとでのランキングも示しています。

2013年の日本の総合ランクは105位ですが、経済活動の分野では104位、教育の分野では91位、健康と生存の分野では34位、政治的影響力の分野では118位です。4つの分野のうち100位以下が2つ、90位以下を基準とすると3つもあるって、凄いですよね。愕然とします。

ところでこのようなジェンダーランキングはどのような意味があるのでしょうか。「たかが女のこと、自分には関係のないことだ」と思っている人が多いかもしれません。しかし、このような考え方は、日本の女性が差別されているという現状、つまり男性に比較して女性は経済的に自立していないということ、男性に比較して高等教育を受けていないということ、女性には政治的影響力がないということを容認しているということです。言い換えれば、女性に対する差別に対して改善の必要を認めないという考えであり、つまるところ、女性差別を容認しているものと言わざるを得ません。
 そして、そのよう女性差別意識は、女性以外の、子ども、障害者、高齢者、低所得者、外国人など社会的な弱者あるいは政治に対して影響力を持たない人間に対する差別意識をも含むと考えます。
 人間に対する差別を容認する社会が健全である筈はありません。
 このようなランキング表が、その国の健全性を検討する重要な指標になることは間違いありません。
日本は憲法の前文で「国際社会で名誉ある地位を占めたいと思う」と宣言しました。このジェンダーギャップランキングで、日本がこのような不名誉なランク付けをされたことについて一体政府はどのように考えているのか、聞いてみたいものだと思います。

 なお、このWEFのレポートやランキング表は誰でもネットで見ることができます。

                         弁護士 渥 美 玲 子
posted by 金山総合法律事務所 at 13:33| 両性の平等