2015年05月21日

アスベスト被害賠償

  
アスベスト被害賠償について
〜国によるアスベスト工場の元労働者とそのご遺族に対する和解による賠償金の支払いについて〜

1 大阪泉南アスベスト訴訟と元労働者や遺族への賠償金の支払いについて
 平成26年10月9日、最高裁判所は、大阪府泉南地域のアスベスト工場の元労働者が被ったアスベストによる健康被害について、国に対して損害賠償をするよう命じました(大阪泉南アスベスト訴訟)。判決の中で、昭和 33年5月26日から昭和46年4月28日までの間、国がアスベスト工場に排気装置を設置するよう規制権限を行使しなかったことが違法であると判断されました。
この判決を受け、厚生労働省は被疑者に対し謝罪した上、アスベスト工場で働いていた元労働者やそのご遺族のうち、大阪泉南アスベスト訴訟の原告らと同様の境遇にある方々が国に対して訴訟を提起した場合に、訴訟上の和解手続きにおいて大阪泉南アスベスト訴訟において示された基準に準じて賠償金を支払うことを決めました。

2 国から賠償を受けることができる要件
厚生労働省の発表によると、国はアスベスト工場で働いていた方やその遺族のなかで、一定の要件を満たす方に対して賠償金を支払うとしています。要件を満たすか否かの判断は、以下のポイントをご確認ください。
@アスベスト工場で働いていた時期
   昭和33年5月26日から昭和46年4月28日までの間に働いていたこと 
A工場内での作業内容
 工場で石綿を直接扱ったり、石綿を取り扱う現場で作業をしていたこと
B健康被害の内容
 元労働者が石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚などを発症したこと
C提訴の時期が損害賠償請求権の期間内であること
 健康被害の発症、じん肺管理区分決定、労災認定、死亡などの時期によって判断します

3 どんな証拠が必要か
厚生労働省の発表によると、上記要件を満たすか否かについて、日本年金機構発行の「被保険者記録照会回答票」、都道府県労働局長発行の「じん肺管理区分決定通知書」、労働基準監督署長発行の「労災保険給付支給決定通知書」、医師の発行する「診断書」等の証拠によって確認するとされています。

4 和解により国から受け取る賠償金の額について
和解により国が支払う賠償金の額は、疾患の種類や病状によって異なります。
また、最高裁判決では、国による賠償義務は、賠償基準額の2分の1を限度とすると判断されているため、和解により国が支払う賠償金の額については、疾患の種類や病状に応じた賠償基準額の2分の 1を基礎として算定されます。

5 元労働者やご遺族に対する和解の手続きの意義
 従前働いていたアスベスト工場がすでに存在しなかったり、訴訟提起をあきらめていた方は、国から賠償を受けられることが明らかになりました。また、理屈の上ではアスベスト工場や会社の責任を追及する事ができても立証が難しいとの理由で救済を受けることをあきらめていた方でも、上記の証拠をそろえさえすれば国からの賠償を受けられます。これらの意味で、今回発表された和解の手続きのは、健康被害を受けられた方に新たな救済の道を開くものと評価できます。しかしながら、和解をするために訴訟を提起しなければならないことや、訴訟での証拠とするためにじん肺管理区分決定申請や労災申請を行わなければならないことから、弁護士による支援が必要となるのではないかと思われます。

6 お問合せ先
 当事務所にはアスベスト被害救済東海弁護団の弁護士が在籍しています。訴訟だけでなく、じん肺管理区分決定申請、労災申請などについてもご相談に応じますので、事務所までお気軽にお問い合わせ下さい。
 【参 考】
 ・厚生労働省HP「石綿(アスベスト)工場の元労働者やその遺族の方々に対する和解手続による賠償金のお  支払いについて」
    2015年5月21日       弁護士 山 下 陽 平
posted by 金山総合法律事務所 at 18:01| 重要判決