2017年05月22日

憲法25条を守る5/18共同集会に参加してきました


5月18日、医療生協の方に誘われて、生存権を守ろう!と東京の日比谷野外音楽堂で行われた全国集会に行って来ました。
東京なんて久しぶり、といった物見遊山的な気持ちもありましたが、全国から3500人もの熱い思いをもった人が集まって来られていて、ちょっと反省でした。

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 憲法25条といえば「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という中学校で教えられた条文をすぐに思い出しますが、それを保障・実質化するための国の責任についても書かれていることを忘れがちです。
 近年、子どもの貧困が叫ばれていますが、一人親家庭の2人に1人は相対的貧困だそうです。食事も満足にとれない子どもがいることに、とても胸が痛みます。障害者も65才になると介護保険に変わるため、今までは不要だった医療費がかかります。発言者の中には受給している年金以上の医療費を支払っているという方もいらっしゃいました。保育士の方からは、やりがいのある仕事だけれど長時間労働で低賃金なのでもうくたくたです、との発言がありました。
 つつましく暮らしている一人親家庭、利息も含め多額の奨学金の返済に苦しむ非正規労働者の若者、目減りする一方の年金だけが頼りの高齢者等々。少数のとってもお金持ちな人は別ですが、圧倒的多数の国民は一生懸命に働き、切り詰めた節約生活をしています。「可能な限りの努力をしても人間らしく生きていけないので国に責任をもって下さい」とお願いすることは憲法25条に反するんでしょうか。生活保護を受けることに罪悪感を感じさせたり、なんでもかんでも自己責任をちらつかせる国のあり方に常日頃憤りを感じていた私です。参加者の方々の発言が身につまされました。
 税金は少しくらい高くても我慢します。「税金は、人が生まれてから死ぬまでに必要な保育・医療・介護を受けられる世の中にするために使って下さい」とお願いしたいです。

 集会では川田龍平・福島瑞穂・山本太郎・田村智子の各議員からの挨拶もありました。閉会の挨拶は菅原文太さんの奥様の文子さんでした。突然の大雨に見舞われた参加者の体のことを心配されていたのがとても素敵で印象的でした。
集会後デモ行進と国会請願がありましたが、あまりの雨に負け帰路に。でもせっかく東京に来たのだからと、急遽買った雨合羽を着たまま東京駅まで歩き、煉瓦の駅舎をバッチリ写真におさめてきました。

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事務局  塚本久美子
posted by 金山総合法律事務所 at 15:46| 憲法

2015年07月21日

「存立危機事態」と集団的自衛権

       「存立危機事態」と集団的自衛権
                          H27.7.21 弁護士 山下陽平
 はじめに
 平成27年7月16日,安全保障関連法案(11の法律の新設・改正)が衆院本会議で与党の強行採決により可決され,引き続き参議院での審議入りすることとなりました。ここで改めて安全保障関連法案の問題点について説明します。法案の内容は多岐にわたりますが,ここでは「存立危機事態」と集団的自衛権について説明します。

 「存立危機事態」とは?
 現在審議中の安全保障関連法案が成立すれば,日本以外の国が攻撃された場合でも「存立危機事態」にあたれば,日本が武力行使できるようになります。この「存立危機事態」とは,我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し,これにより我が国の存立が脅かされ,国民の生命,自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合とされています。日本が攻撃されていないにもかかわらず,アメリカのように日本と密接な関係にある他国が武力攻撃された場合にも日本が武力行使することは,集団的自衛権の行使にあたります。国会で集団的自衛権について審議されているとの報道は,この「存立危機事態」をめぐってのことなのです。
 「存立危機事態」の定義からは具体的にどのような場合が「存立危機事態」にあたるのかはっきりしておらず,政府の解釈次第でどこまでも恣意的に広がってしまう懸念があります。たとえば,アメリカが先制攻撃をし,攻撃された国から反撃された場合でも「存立危機事態」と認定されてしまうでしょう。アフガン戦争,イラク戦争などを思い起こすと,安全保障関連法案が成立すれば,日本がアメリカの戦争に引っ張り込まれる危険性が高まると言わざるを得ません。

 憲法9条の下では,集団的自衛権の行使は認められていません。
 安全保障関連法案は従前の政府による憲法解釈と矛盾するものです。従来,政府は,国際紛争を解決する手段として戦争を放棄する旨定めた憲法9条1項の下でも,自衛戦争は国際紛争を解決するものではなく自衛戦争は可能であるとの立場に立ちながら,戦力の不保持と交戦権を否認を定める憲法9条2項の下で自衛戦争も否定されているとしていました。一方で,自衛のための必要最小限度の実力の保持は憲法上許容されているという解釈をとっていました。一読してわかりやすい説明ではありませんが,戦争と評価されないぎりぎり必要最小限度の範囲の自衛権の行使のみが極めて限定的に認められるとされ,集団的自衛権の行使は認められないとしてきたのです。
 このような憲法解釈の下,法律上も日本が武力を行使できるのは,日本に対する武力攻撃の発生している場合,武力攻撃が切迫している場合や武力攻撃が予測されるという場合に極めて厳格に限定されていたのです。現在,国会では,このような限定をかけていた法律を改正し,集団的自衛権を行使する手続きについて定める法律が審議されています。しかし,集団的自衛権は認められていないとしてきた従来の政府見解とも矛盾しますし,現在の憲法の下,日本が集団的自衛権を行使できないという点は,多くの憲法学者の見解も一致しています。集団的自衛権を認める安全保障関連法案は,憲法に反するものです。

 政府与党の姿勢は,国民を無視し立憲主義に反するものです。
 日本も集団的自衛権を行使できるようにすべきだとの議論が出てきたのは,中国脅威論などの国際情勢を背景としているようです。しかしながら,現在の憲法の下で集団的自衛権が認められるか否かという議論と,国際情勢の中で日本が集団的自衛権を行使できるようにする必要があるか否かという議論は,議論の内容が全く異なります。先ほど述べたように,現在の憲法の下では集団的自衛権は認められません。このことは,国際情勢の中で日本に集団的自衛権行使を認める必要があるか否かとは直接的には無関係です。
 政府が国際情勢の中で日本が集団的自衛権を行使できるようにする必要があると考えるのであれば,国際情勢の中での日本の在り方について議論を尽くし,憲法改正を行ってから,集団的自衛権行使の手続きを定める法律を定めるべきです。憲法改正には大きな反対があるでしょうが(私も反対です),議論を重ねて国民を説得をすべきでしょう。それをせずに,憲法に反する法律を通してなし崩し的に集団的自衛権を認めるのは,国民を無視して事実上の改憲を行うことに他なりません。
 個人に対して強大な権力を有する国家機関は,個人を尊重する憲法に縛られ,憲法に反することはできないという根本的な原則を立憲主義といいます。憲法の役割を無視して,なし崩し的に憲法に反する集団的自衛権行使を容認しようとすることは立憲主義を逸脱するものです。
  以 上
posted by 金山総合法律事務所 at 17:59| 憲法