2015年07月21日

トリノ アスベスト判決(10)

トリノ アスベスト判決(10)

私は、2015年6月27日と28日、尼崎市中小企業センターで開催された「クボタショックから10年、アスベスト被害の救済と根絶をめざす尼崎集会」に参加しました。主催者は「中皮腫・アスベスト疾患 患者と家族の会/尼崎労働者安全姿勢センター」です。
参加者は、予想の会場定員の200人をはるかに超え、270人となり、かつ各報道関係者も来ており熱気がむんむんしていました。
 この初日、イタリアのカザーレ・モンフェラートのアスベスト被害とその家族の協会(AFeVA)の幹部の方3人も来日していました。
その中で、1979年から1994年までCGIL労働組合(カザーレモンフェラート地区事務所)の書記長をし、1988年からAFeVAの相談役をしているブルーノ・ペシェさんも発言しました。その日の夕刻、直接ブルーノさんにお目にかかった際、ブルーノさんの発言内容のメモをいただき、私が翻訳し発表するという許可を得ました。
この発言から、イタリアで被害者が2000人とも3000人とも言われ、世界最大の訴訟を起こした、この「AFeVA」の大きな闘いを少し垣間見ることができると思いましたので、紹介します。誤訳などあると思いますが、ご容赦下さい。
なお、文中の「古谷杉カさん」とは石綿対策全国連絡会議の事務局長として精力的に世界中を飛び回っている頼もしい方です。
2015年7月21日 弁護士 渥 美 玲 子

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   ブルーノ・ペシェさんの挨拶

皆さんに私達の協会、私達の患者とその家族、そして私達の代表者であるロマーナ・ブラソッティ・パベージからの挨拶を申し上げます。

まず、皆さんには、私達を招待していただき、また最高の歓待をして下さったことに感謝します。私達の友人古谷杉カさんに感謝します。彼とは昨年11月19日に最高裁判所の判決のときにすでにお目に掛かっておりますが、その判決は、非常に不正義に満ちていました。つまり、多国籍企業のエテルニトの最後の経営者だったシュテファン・シュミッダイニに対して故意による環境破壊罪が時効消滅したとの言い渡しがあったのです。
 判決のあった日以降、カザーレで、親愛なる杉カ、あなたは、私達と共にいました。諸協会の国際会議の場、被害者や住民、地方や洲の行政機関などと一緒に行うデモの場にいましたね。それらの場所では、最高裁の判決に対し断固たる異議を述べ、さらに引き続き正義を求める闘い、各地でのアスベスト除去を求める闘い、さらには健康と中皮腫に的を絞った医学的研究のための闘いを続けることを約束したのです。

正義
最高裁の判決は、それまでトリノ裁判所での1審、2審の有罪判決をすべてゼロにするというものでした。これらの判決はシュミッダハイニとルイ・ドゥ・カルティエ男爵に16年の禁固を宣告し、なおその後、2審では18年の禁固に増えましたが、それらが時効消滅したというのです。この判決は、私達にとってはあまりにも不正義でした。なぜならば、今でも災害は進行中で、カザーレには4万5000人の住民がいますが、このカザーレだけでも毎年50人以上の中皮腫の患者がでています。その50人のうち約80%は環境曝露による市民とみなされています。

この判決は、カザーレ・モンフエラート、カバニョロ、ルビエラ、ナポリで約3000人の犠牲者を出した甚大な災害、そして何億エウロという健康と環境に対する被害を、無いものとして消してしまったのです。
この判決以降、私達は、労働組合機関、カザーレとカバニョロなどの市長、さらに政府や国会、最高司法官評議会などの高い地位の人達と面会しました。

首相のマッテオ・レンツィは、殺人罪の新しい裁判にイタリア政府が裁判の民事の分野に被害者として参加するということを約束し、その後本当に実行しました。この新しい裁判は、258人の死亡者、そのうち市民の多数が占めていますが、現在予審手続に付され、7月14日正式裁判として移行するかどうかが決定されます。
それでこの新しい裁判の見通しについては、政府が、活動や調整としての役割を積極的に展開し、刑事裁判だけでなく民事裁判においても、正義と損害賠償義務を勝ち取るために主導権を発揮することを約束するよう強く要求しました。
被害者を孤立させるべきではありません。彼らは、世界中を回ってスイス人の百万長者の金を追いかけるという能力はありません。いずれにしろ政府はまず始めに、洪水や大災害による被害だけではなく、何十年間も続く重大な罪によって被害を受けた市民の保護をするべきです。

石綿被害の全国基金
私達は環境災害による被害者や家族をも保護する全国基金設立を強く求めてきました。1989年には石綿を禁止する法律を求める闘いが始り、1992年には施行されたのですが、基金についての規定はありませんでした。イタリアでも中皮腫は増加傾向にあり、1年で1500人を超える被害者がでています。しかしこのうちINAILが労働によって発生したと認めたのは半分以下です。
最近創設された基金の現在の活動は、職業上の被害者に対するINAILの手当を増額させたということです。今日では政令、省令などの通知と共に、「職業上」(もちろんこれも大切です)という壁を乗り越えることができるのです。しかし私達は、もしも、みんなが平等ではないとすると、石綿に曝露された大多数の人々との間に、環境曝露の被害者との差別が未だに生じるという一部にしか認められないことを恐れています。

除去
前述したように政府の長と面会して、私達は大きな喜びとともに除去に必要な新たな財政的援助について確認しました。すでに約6500万エウロが3年間にカザーレとモンフエラートにある47の小さな自治体のSIN(国内の重要な除去箇所)に対して支払われると発表されています。
必要なことの第1は、SINのすべてについて除去するという計画を作成しさらに推進するためには、財政支出の期限厳守を約束させることです。
カザーレでは公共施設についてはすでに除去されています。個人の建物については、除去したりあるいは屋根の葺き替えなど代替品に替えるための費用の50%については補助金があります。使用が禁止された違法な石綿の除去については、補助金はその費用の100%が支給されます。

次に重要なことは、力のある団体と行政機関がお互いに助け合うことです。安全性をチェックする方法とともに、さらに除去の範囲を広げることです。
この私達の闘いのおかげで除去の一般的なレベルを具体的に指示することができるようになりました。国内の補助金を増額することと、州などの地域のレベルにおいて統計調査を広くおこなうこと、アスベストを除去した物質を自治体の廃棄施設などで処分することなど自治体が回収する行政サービスを増やすこと、このことによって合法性、安全性、計画作成などのために、公共施設や学校などを優先的に始めることも重要です。

健康と研究
私達の地域では、長年要求していたことも実現しました。それはUFIM(カザーレとアレッサンドリアにある病院内の中皮腫企業間活動共同体)で、データ処理に貢献した人や中皮腫の病理研究のため検体を保管する銀行を運営をする人などによる、トリノ大学で共同研究をしている優秀な14のセンターのネットによる研究です。なお、ここの腫瘍学のスカッリョット教授はUFIMに所属する教授です。

協会の国際連帯
世界中のアスベストを禁止する法律を制定するために主導権を持つよう、すべての行政機関に要求すること、そして相互協力や闘いは必要です。この地球の約70%では、石綿は採掘され、未だに使用されています。10万人の労働者や市民が死亡するとされています。
 国際機関は、石綿による緊急事態に対して目を閉じることは出来ませんから、まずはロッテルダム条約についての闘い続けましょう。ロッテルダム条約の危険有害物質の中に「石綿」を加えるという要求があったが、最近も、拒否されたからです。

皆様に感謝します。
 皆様とあなた方の国の石綿被害者の全員に連帯の抱擁をします。さらにここにいるエリック、そしてベルギーの協会に挨拶をします
連帯万歳、そして正義や石綿被害者に対するを勝ち取るための国際的な闘い万歳。

以 上
posted by 金山総合法律事務所 at 18:27| イタリアの風

「存立危機事態」と集団的自衛権

       「存立危機事態」と集団的自衛権
                          H27.7.21 弁護士 山下陽平
 はじめに
 平成27年7月16日,安全保障関連法案(11の法律の新設・改正)が衆院本会議で与党の強行採決により可決され,引き続き参議院での審議入りすることとなりました。ここで改めて安全保障関連法案の問題点について説明します。法案の内容は多岐にわたりますが,ここでは「存立危機事態」と集団的自衛権について説明します。

 「存立危機事態」とは?
 現在審議中の安全保障関連法案が成立すれば,日本以外の国が攻撃された場合でも「存立危機事態」にあたれば,日本が武力行使できるようになります。この「存立危機事態」とは,我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し,これにより我が国の存立が脅かされ,国民の生命,自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合とされています。日本が攻撃されていないにもかかわらず,アメリカのように日本と密接な関係にある他国が武力攻撃された場合にも日本が武力行使することは,集団的自衛権の行使にあたります。国会で集団的自衛権について審議されているとの報道は,この「存立危機事態」をめぐってのことなのです。
 「存立危機事態」の定義からは具体的にどのような場合が「存立危機事態」にあたるのかはっきりしておらず,政府の解釈次第でどこまでも恣意的に広がってしまう懸念があります。たとえば,アメリカが先制攻撃をし,攻撃された国から反撃された場合でも「存立危機事態」と認定されてしまうでしょう。アフガン戦争,イラク戦争などを思い起こすと,安全保障関連法案が成立すれば,日本がアメリカの戦争に引っ張り込まれる危険性が高まると言わざるを得ません。

 憲法9条の下では,集団的自衛権の行使は認められていません。
 安全保障関連法案は従前の政府による憲法解釈と矛盾するものです。従来,政府は,国際紛争を解決する手段として戦争を放棄する旨定めた憲法9条1項の下でも,自衛戦争は国際紛争を解決するものではなく自衛戦争は可能であるとの立場に立ちながら,戦力の不保持と交戦権を否認を定める憲法9条2項の下で自衛戦争も否定されているとしていました。一方で,自衛のための必要最小限度の実力の保持は憲法上許容されているという解釈をとっていました。一読してわかりやすい説明ではありませんが,戦争と評価されないぎりぎり必要最小限度の範囲の自衛権の行使のみが極めて限定的に認められるとされ,集団的自衛権の行使は認められないとしてきたのです。
 このような憲法解釈の下,法律上も日本が武力を行使できるのは,日本に対する武力攻撃の発生している場合,武力攻撃が切迫している場合や武力攻撃が予測されるという場合に極めて厳格に限定されていたのです。現在,国会では,このような限定をかけていた法律を改正し,集団的自衛権を行使する手続きについて定める法律が審議されています。しかし,集団的自衛権は認められていないとしてきた従来の政府見解とも矛盾しますし,現在の憲法の下,日本が集団的自衛権を行使できないという点は,多くの憲法学者の見解も一致しています。集団的自衛権を認める安全保障関連法案は,憲法に反するものです。

 政府与党の姿勢は,国民を無視し立憲主義に反するものです。
 日本も集団的自衛権を行使できるようにすべきだとの議論が出てきたのは,中国脅威論などの国際情勢を背景としているようです。しかしながら,現在の憲法の下で集団的自衛権が認められるか否かという議論と,国際情勢の中で日本が集団的自衛権を行使できるようにする必要があるか否かという議論は,議論の内容が全く異なります。先ほど述べたように,現在の憲法の下では集団的自衛権は認められません。このことは,国際情勢の中で日本に集団的自衛権行使を認める必要があるか否かとは直接的には無関係です。
 政府が国際情勢の中で日本が集団的自衛権を行使できるようにする必要があると考えるのであれば,国際情勢の中での日本の在り方について議論を尽くし,憲法改正を行ってから,集団的自衛権行使の手続きを定める法律を定めるべきです。憲法改正には大きな反対があるでしょうが(私も反対です),議論を重ねて国民を説得をすべきでしょう。それをせずに,憲法に反する法律を通してなし崩し的に集団的自衛権を認めるのは,国民を無視して事実上の改憲を行うことに他なりません。
 個人に対して強大な権力を有する国家機関は,個人を尊重する憲法に縛られ,憲法に反することはできないという根本的な原則を立憲主義といいます。憲法の役割を無視して,なし崩し的に憲法に反する集団的自衛権行使を容認しようとすることは立憲主義を逸脱するものです。
  以 上
posted by 金山総合法律事務所 at 17:59| 憲法

2015年05月21日

アスベスト被害賠償

  
アスベスト被害賠償について
〜国によるアスベスト工場の元労働者とそのご遺族に対する和解による賠償金の支払いについて〜

1 大阪泉南アスベスト訴訟と元労働者や遺族への賠償金の支払いについて
 平成26年10月9日、最高裁判所は、大阪府泉南地域のアスベスト工場の元労働者が被ったアスベストによる健康被害について、国に対して損害賠償をするよう命じました(大阪泉南アスベスト訴訟)。判決の中で、昭和 33年5月26日から昭和46年4月28日までの間、国がアスベスト工場に排気装置を設置するよう規制権限を行使しなかったことが違法であると判断されました。
この判決を受け、厚生労働省は被疑者に対し謝罪した上、アスベスト工場で働いていた元労働者やそのご遺族のうち、大阪泉南アスベスト訴訟の原告らと同様の境遇にある方々が国に対して訴訟を提起した場合に、訴訟上の和解手続きにおいて大阪泉南アスベスト訴訟において示された基準に準じて賠償金を支払うことを決めました。

2 国から賠償を受けることができる要件
厚生労働省の発表によると、国はアスベスト工場で働いていた方やその遺族のなかで、一定の要件を満たす方に対して賠償金を支払うとしています。要件を満たすか否かの判断は、以下のポイントをご確認ください。
@アスベスト工場で働いていた時期
   昭和33年5月26日から昭和46年4月28日までの間に働いていたこと 
A工場内での作業内容
 工場で石綿を直接扱ったり、石綿を取り扱う現場で作業をしていたこと
B健康被害の内容
 元労働者が石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚などを発症したこと
C提訴の時期が損害賠償請求権の期間内であること
 健康被害の発症、じん肺管理区分決定、労災認定、死亡などの時期によって判断します

3 どんな証拠が必要か
厚生労働省の発表によると、上記要件を満たすか否かについて、日本年金機構発行の「被保険者記録照会回答票」、都道府県労働局長発行の「じん肺管理区分決定通知書」、労働基準監督署長発行の「労災保険給付支給決定通知書」、医師の発行する「診断書」等の証拠によって確認するとされています。

4 和解により国から受け取る賠償金の額について
和解により国が支払う賠償金の額は、疾患の種類や病状によって異なります。
また、最高裁判決では、国による賠償義務は、賠償基準額の2分の1を限度とすると判断されているため、和解により国が支払う賠償金の額については、疾患の種類や病状に応じた賠償基準額の2分の 1を基礎として算定されます。

5 元労働者やご遺族に対する和解の手続きの意義
 従前働いていたアスベスト工場がすでに存在しなかったり、訴訟提起をあきらめていた方は、国から賠償を受けられることが明らかになりました。また、理屈の上ではアスベスト工場や会社の責任を追及する事ができても立証が難しいとの理由で救済を受けることをあきらめていた方でも、上記の証拠をそろえさえすれば国からの賠償を受けられます。これらの意味で、今回発表された和解の手続きのは、健康被害を受けられた方に新たな救済の道を開くものと評価できます。しかしながら、和解をするために訴訟を提起しなければならないことや、訴訟での証拠とするためにじん肺管理区分決定申請や労災申請を行わなければならないことから、弁護士による支援が必要となるのではないかと思われます。

6 お問合せ先
 当事務所にはアスベスト被害救済東海弁護団の弁護士が在籍しています。訴訟だけでなく、じん肺管理区分決定申請、労災申請などについてもご相談に応じますので、事務所までお気軽にお問い合わせ下さい。
 【参 考】
 ・厚生労働省HP「石綿(アスベスト)工場の元労働者やその遺族の方々に対する和解手続による賠償金のお  支払いについて」
    2015年5月21日       弁護士 山 下 陽 平
posted by 金山総合法律事務所 at 18:01| 重要判決

2015年02月12日

イタリア題材の漫画

イタリアの風
         イタリア題材の漫画

実は私は結構漫画が好きだが、イタリア語に接するようになってから、イタリアの文化や歴史を題材にした漫画に注目することが多くなった。とは言ってもたまに立ち寄る書店で探して、膨大な種類と数の漫画の中から偶然目に飛び込んだものに過ぎないが、それでもいくつか見つけたので、紹介しよう。

1,テルマエロマエ @〜E(ヤマザキマリ エンターブレイン社)
この漫画は映画化されて更にヒットしたものである。古代ローマのハドリアヌス帝が治めていた頃(在位117年〜138年)の物語で、主人公の建築技師ルシウス・クイントス・モデストゥスがさまざまな浴場を考案し建築する。古代ローマの建物はローマやナポリなどイタリアのあちこちで見ることができるが、まるで、その時代に生きているかのように、建物、衣服、食べ物など生活の状況を具体的に感じることができる。
 なお当時は現代イタリア語ではなくラテン語が使用されていたので、この漫画の中にはラテン語で書かれている箇所がいくつかある。またこの漫画のイタリア語版は日本でも入手可能だが、読んでみると、イタリア語版では「ルシウス」ではなく現代呼称の「ルーチョ」である。
ちなみに私は、著者が「平たい顔族」(FACCIA PIATTA)という言葉を発明したことに敬意を表している。数年前あるイタリア人が優しく私の顔を見つめていたが、突然右手をパッと広げて私の顔に当て、「ねえ、れいこ、鼻はどこにあるの」と微笑んで聞いた。そのとき私はなんと答えたか記憶にないが、今なら言える。「私は平たい顔族よ、それが何か?」

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2,プリニウス @A(ヤマザキマリ とり・みき 新潮社)
この漫画はネロ帝の頃(在位54年〜68年)の古代ローマを扱ったもの。実在の人物である博物学者のガイウス・プリニウス・セクンドゥス(23年〜79年)が主人公である。実は恥ずかしながら、私はこの人物のことを知らなかったので、とてもためになる。というよりラテン語表記はもちろん、プリニウスについての著者の博識について行けず、注釈だけでは理解できない場面も多く、私の探求心をそそっている。そういう困難もまた楽しい。そのうち私も「シキリア」の「マグナ・グラエキア」に行って「サウルス シス」と挨拶し「パニス クアドーラトゥス」を食べながら「チェトラ」を聞き、「タブリウム」で「アイソーポス」とか「ゲルマニア戦記」を読むという生活をするかもしれない。
実は最近「イタリアチーズの故郷を訪ねて〜歴史あるチーズを守る」(本間るみ子)という本を偶然購入したら、なんと「学者プリニウスもこのチーズの前身を言われるブロッテロの品質について書き残しているくらいである」とか「大プリニウスは著書『博物誌』に当時のシチリアのチーズの美味しさを書き残している」と書かれていた。
もしかしてイタリアに精通している人にとってプリニウスは知識として当然のことなのかもしれない。おそるべし「プリニウス」。

3,アド・アストラ〜スキピオとハンニバル〜 @〜E (カガノミハチ 集英社)
昔世界史で勉強した「第2ポエニ戦争」(紀元前218年〜201年)を題材とした漫画。カルタゴの名将ハンニバル・バルカ(紀元前247年〜183年)が当時共和制を敷いていたローマを相手に戦略戦術を駆使し、アルプス越えをし、トレビア川の闘いなど繰り広げる物語である。これにブブリウス・コルネリウス・スキピオ・アフリカヌス・マイヨル(紀元前236年〜183年)が対抗する物語で、横山光輝の「三国志」に似たおもしろさがある。ハンニバルはローマにとっては敵将なので、イタリアでは好意的に評価されてはいないとの意見もあるが、彼はアルプスからシチリアまでイタリア半島を縦断しているので、現在のイタリア人の血にはフェニキア人の血も入っていると思う。
題名の「アド・アストラ」とは「ペル アスペラ アド アストラ」(PER ASPERA AD ASTRA」というラテン語から取ったもので、意味は「困難を通じて天へ」というカッコ良いもの。塩野七生の本(ローマ人の物語・ハンニバル戦記)を読みたくなる。
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4,チェーザレ〜破壊の創造者 @〜J(惣領冬美 講談社)
フィレンツェのメディチ家が一番政治的勢力を持ち、ルネッサンスの花が開いた時代のことである。イタリア半島がいまだ国家として統一されず、ミラノ公国、フィレンツェ共和国、ナポリ王国など多数の国に分かれ、それぞれ覇権を争っている政治状況は、日本の戦国時代を彷彿させるが、さらに教皇との権力争い、国境を接するフランスやスペインなどの外国の連携を巡って政治的思惑が絡む。
 このような状況の中、貴族であるチェーザレ・ボルジア(1475年〜1507年)が主人公になって、権力獲得のため様々な策略を繰り出している。チェーザレ・ボルジアは、あの有名なニッコロ・マキャベリの書いた君主論では、「見習うべき君主」として論述され、冷酷無比な政治家としてイタリア人にはあまり人気がないと聞く。しかし、この漫画は時代考証も良くなされており、イタリアの歴史や芸術を理解するためには十分におもしろくまた参考になる。著者はまた違った側面のチェーザレを見せてくれるに違いない。
 なお、チェーザレの属するボルジア家はスペイン・バレンシアの出身なので、漫画にはスペイン語も出てくる。

5,カンタレラ @〜K(氷栗 優 秋田書店)
この漫画もチェーザレ・ボルジアを主人公としているが、「父ロドリゴの策略で法王の地位と引き換えに、生まれたと同時に魔に売られた」という非常にファンタジックな物語である。標題の「カンタレラ」とはボルジア家が暗殺に用いた毒薬を指すとされるが、他方、主人公のチェーザレ自身の体も魔の力に侵されて行く。
ところでイタリアのルネッサンス時代と言えば、有名有能な人物が多士済々であり、漫画の主人公には事欠かないと思われるが、なぜチェーザレがこのように漫画の主人公になるか、私には大変不思議だ。一説によればチェーザレは非常に美男子だったというから、漫画の素材にふさわしかったのだろうか。ちなみに「イタリアはイケメンが世界一多い国」らしい。真偽のほどは不明だ。
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6,アルテ @A (大久保 圭 徳間書店)
16世紀初頭、ルネサンスの発祥の地フィレンツェで芸術が花開いた頃、女性の主人公アルテ・スパレッティが貴族の階級に属しながらも男性に依存しないで働くことの大切さにめざめ、大好きな絵画を人生の中心とするために世間に飛び出して生き抜いてゆく物語である。
当時のフレンツェの街が生き生きと描かれているばかりでなく、建物、道、衣服、料理など時代考証されていると思う。また当時の女性のおかれた立場や職業に対する考え方なども「女は家にいて主人の言うことを良く聞き、子供を産み育てる・・それが仕事。自由のない籠の鳥であった」などと説明されている。主人公が芸術家として大成するには本当に難しい時代だと思うが、応援したい。
 ちなみに、弁護士という資格も旧弁護士法が施行された1893年当時は、男子に限定されていた。つまり女性は弁護士資格から排除されていたのである。女性弁護士を認める弁護士法が施行されたのは、1936年だったという。

7,絵画修復家キアラ @A(たまい まきこ ぶんか社)
こちらの漫画は絵を描く方ではなく、絵画を修復する専門家キアラ・ジェンティレスキが主人公。時代は16世紀後半、キアラは伯爵家の8女、12歳、天才という設定。
キアラは修復家であるから、フレスコ画の説明はもちろん、「フレスコ皮膜切離(ディスタッコ・アストラッポdistacco a strappo)」という修復法まで書いてくれているので、とても勉強になる。とは言っても私にはまったく分からないが・・。
修復といえば近年、ミケランジェロのシスティナ礼拝堂の天井画や「最後の審判」、ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」などが修復され当時の鮮やかな色を取り戻したことで話題になっている。また、2014年11月には日本の和紙(石州半紙、本美濃紙、細川紙)が日本の手漉き和紙技術として世界無形文化遺産に登録され、この和紙が絵画の修復に有効だと言われている。
 絵画の修復は、描かれた国や時代、手法などの違いにより、おそらく非常に膨大な知識や高度な技術を要すると思うが、このような知識をこの漫画は与えてくれる。
 なお、この漫画でも「最近プルニウスの博物誌を手に入れて、画材などはそこから調べています」と言われ、「あんな稀少本を手に入れるなんて・・」とキアラが驚く場面がある。やはりプリニウスおそるべし! 著者おそるべし!
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                                2015年2月12日 渥美玲子
以 上
posted by 金山総合法律事務所 at 17:57| イタリアの風

2015年01月06日

トリノ アスベスト判決9

            トリノ アスベスト判決 9

先回は、トリノ地裁判決を少しみてみたが、実は同じような裁判が日本でもあり、まさに公訴時効が争われた。それは熊本県水俣の水俣病のケースだった。

1988年(昭和63年)2月29日最高裁判所第2小法廷は、要旨「刑事訴訟法253条1項にいう犯罪行為には刑法各本条所定の結果も含まれる」とする判決を出した。
この事件は水俣病という日本の歴史に残る最大級の公害に関するもので、企業責任者の刑事責任を認めた最初の判決である。

被告人は2人で、1958年(昭和33年)から1964年(昭和39年)まで新日本窒素肥料株式会社の代表取締役にあった者と、1957年(昭和32年)から1960年(昭和35年)まで同社の水俣工場の工場長の職にあった者である。また被害としては7人の死傷者に関して問題とされた。
 同社の熊本県の水俣工場では、かねてより工場廃水を水俣湾に排出していたが、この湾の魚介類を食べていた周辺住民のあいだに原因不明の病気が発生し、1956年(昭和31年)5月にはいわゆる「水俣病」として社会問題になっていた。
 1958年(昭和33年)7月には厚生省の調査によって工場廃水の中に水俣病の原因物質が含まれていることが判明し、それは被告人らの認識するところとなった。従って本来被告人らにはこの工場廃水を水俣湾に排出しない措置を取るべき業務上の注意義務を負うことになった。しかしながら被告人らはこの注意義務を怠り、1958年(昭和33年)9月から1960年(昭和35年)6月頃まで漫然と工場廃水を排出し続けたのである。この工場ではアセトアルデヒド製造工程において発生した塩化メチル水銀が工場廃水に含まれており、このような工場廃水が水俣湾に流出することにより同湾の魚介類が塩化メチル水銀に汚染され蓄積され、これを食べた住民に水俣病が発症した。その主な症状は中毒性中枢神経疾患であり、四肢末端などの感覚障害、運動失調、視野狭窄、聴力障害、言語障害、振戦などがあるとされている。
水俣病は英語で「Minamata Disease」と呼ばれ、公害の原点として、特に水銀汚染による公害として世界に知られている。水俣病による被害者数は数万人と言われており、発生からすでに60年以上経った現在でも解決していない。

 この2人が1976年(昭和51年)5月に刑法211条の業務上過失致死傷罪で起訴された。本条は「業務上必要なる注意を怠り、よって人を死傷に至らしめたる」行為に関するものであるが、「業務」とは「人が社会生活を維持する上で、反復継続して従事する仕事」をさすと言われている。なお、同じ「業務上」という概念であっても、労働基準法75条にいう「業務上」は労働者の労働に関係する概念なので若干意味を異にする。
 その後、1979年(昭和54年)3月には熊本地方裁判所で判決がだされ、1982年(昭和57年)9月には福岡高等裁判所で判決がだされ、さらに上告されたため、1988年(昭和63年)2月に最高裁判所の判決となったものである。
この訴訟ではいろいろな論点があるが、公訴時効に絞ってみてみる。

 起訴は1976年(昭和51年)だったが、このときすでに7人のうち6人が死亡していた。具体的には、6人のうち4人が1959年(昭和34年)に死亡し、1人は1971年(昭和46年)に、もう1人は1973年(昭和48年)に死亡していた。ところでこの訴訟では犯罪の実行行為が1960年(昭和35年)までだったことから、現行の刑法211条ではなく、1968年(昭和43年)に改定される前の旧法の「3年以下の禁固または1000円以下の罰金に処する」の規定が適用されたため、公訴時効期間は3年とされていた。

第1審の熊本地方裁判所は、公訴時効の起算点について「これを実行行為の終了時とすると解すると、未遂犯を処罰する規定のない場合の結果犯については、結果が発生しないうちに公訴時効が完成してしまって、公訴の提起ができない場合が生じることになり不合理な結果を招くことになる」とした。2人の被告人について犯罪行為の実行行為の終了は昭和35年8月から3年を経過した昭和38年8月に時効が完成するところ、7人の被害者のうち昭和35年までに死亡したり傷害(胎児性障害)をもった5名については消滅時効が完成したものとして免訴をおこない、昭和46年、昭和48年に死亡した2人について禁固2年執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。これに対し被告人両名は控訴したが、福岡高等裁判所は控訴棄却した。

被告人らが上告したため最高裁判所に係属したが、最高裁判決は、特に1960年(昭和35年)8月に胎児性障害をもって出生し、1973年(昭和48年)6月に死亡した被害者Gにつき、このように述べた。
「確かに出生から死亡までの間に12年9ヶ月という長年月が経過している。しかし公訴時効の起算点に関する刑訴法253条1項にいう『犯罪行為』とは、刑法各本条所定の結果を含む趣旨と解するのが相当であるから、Gを被害者とする業務上過失致死罪の公訴時効は当該犯罪の終了時であるGの死亡の時点から進行を開始するのであって、出生時に同人を被害者とする業務上過失傷害罪が成立したか否か、そして、その後の同罪の公訴時効期間が経過したか否かは、前記業務上過失致死罪の公訴時効完成の有無を判定するにあたっては、格別の意義を有しないものというべきである。従って、G死亡の時点から起算して公訴時効期間が満了する前の1976年(昭和51年)5月4日に公訴が提起されている本件業務上過失致死罪につき、その公訴時効の完成を否定した原判断の結論は正当である」として熊本地方裁判所の結論を認めた。
 なお、本件では、公訴時効についての論点以外に憲法37条1項の「すべて刑事事件においては、被告人は裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する」という規定に違反しているか否かも争点となったが、最高裁は「本件公訴提起が事件発生から相当の長年月を経過した後になされていることは被告人弁護人の指摘のとおりであるが、本件が複雑な過程を経て発生した未曾有の公害事犯であって、事案の解明に格別な困難があったこと等の特殊事情に照らすと、いまだ公訴提起の遅延が著しいとまでは認められない」との意見を述べた。今や、生活のすみずみに至る迄、私達の知らない化学物質が入り込んでいる。現在、原因不明といわれる難病は数多くあるが、これらの原因物質などが科学的に解明されるためには、長年月がかかるのかもしれない。

余談であるが、熊本地裁判決の判決文に「イタリア」という言葉があったのに気がついた。「日本窒素肥料株式会社は、1921年(大正10年)12月にはイタリアのカザレー式アンモニア合成法の特許実施権を買収し、宮崎県延岡工場において合成アンモニアの工業化に成功し、1925年(大正14年)には水俣にも同法による合成アンモニア及び硫安工場を建設し、カザレー式による低コストのアンモニア、硫安を製造し、硫安業界に確固たる地位を築くようになった」とある。イタリアは古くから工業先進国でもあったのだ。なお、宮崎県延岡市にある旭化成の工場敷地内には「カザレー式アンモニア合成塔」が展示されているという。

2015年1月16日 弁護士 渥 美 玲 子

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トリノ アスベスト判決 8

            トリノ アスベスト判決 8

2012年2月のトリノ地裁判決では、刑法第434条と刑法第437条の2つについて消滅時効を認めなかったが、できる限り、その理由を見てみたい。

ところで前提問題として消滅時効に関するイタリア刑法をみてみよう。
時効期間について、刑法157条で「時効は、法律で定められた刑罰の最高刑に合致する期間に対応して犯罪行為を消滅させる。そして刑法犯に対しては6年以下の期間、犯則及び罰金刑に対しては4年以下の期間に対応する」としている。今回、最高裁の検察官が12年間で時効消滅したと判断したのは、刑法434条2項の最高刑が禁固刑12年だったからだと推測できる。
 ちなみに、日本の刑事法では、時効には「刑の時効」と「公訴の時効」の2種類があり、「刑の時効」は刑法第31条で「刑の言い渡しを受けた者は時効によってその執行の免除を受ける」と規定されており、他方「公訴の時効」については刑事訴訟法第250条で「公訴時効の期間」という標題の下で規定されているから、上記のイタリア刑法157条の時効とは、日本で言えば、公訴時効を指すと解釈することができよう。同じような規定が日本では刑事訴訟法に規定され、イタリアでは刑法で規定されているが、この違いは無視できないかもしれない。
さらに時効の起算点については、イタリア刑法158条1項で「時効の終期は、既遂犯においては既遂になった日から始まり、未遂犯においてはその犯罪行為が終了した日から始まり、継続犯については継続行為が終了した日から始まる」と規定されている。他方、日本の刑事訴訟法第253条では、公訴時効の起算点について、「時効は犯罪行為が終わった時から進行する」という規定になっている。

さてトリノ地裁判決では、まず先に、業務上の災害や事故を予防義務違反に関する第437条について検討されている。
判決は、本条の第1項「業務上の災害や事故を予防するための施設や機械あるいは標識を設置することを怠り、それらを撤去し、もしくはそれらの使用目的を損なうような行為をした者は6ヶ月以上5年の禁固に処する」という規定ではなく、第2項「以上の事実によって災害あるいは事故を引き起こした場合は、3年から10年の禁固に処する」という規定について検討しているが、結論としては、消滅時効は完成しておらず、よって被告人は2項に定めた刑に処せられるとした。その理由の一部分をみると次のようである。

「437条第2項に規定されている問題の罪は自立性、独立性を有しており、時効は完成していないと考えている。それは発生した事実を確認したときから進行するとすべきであり、行為が行われた時から進行するためすでに時効は完成しているという反対の意見があったとしてもである。しかし当裁判所にとっての以上のような問題は、正しくない。それどころか、(以上の事実によって災害あるいは事故を引き起こしたという第2項に規定されている)加重事実の確認は、刑法158条第1項にかかる罪についての時効が完成する目的において無視されるべきではなく、437条2項について考えれられるこのケースにおいて結論を述べるためには、同条第1項にで規定された罪についての諸事情を考慮しなければならないので、時効の完成の計算は、被告人の立場役割に対して不利な結果をもたらす筈である。」とした。
 そして、「当裁判所は、437条2項には罪としては独立していると考え、それ故、時効完成の計算の終期については、様々な罪を消滅するに必要な時間が検討されなければならない。」とした。
さらに判決は不治の病や潜伏期間の長い疾病に関する裁判例について検討した後、「実際、このような従来の型にはないケース、つまり行為が遂行された後に長期間経過してのちに事件が確認されるというケースがありうることは、1930年の立法者にとっては、予想できなかった。」として条文の解釈について、柔軟な態度を示した。
「あるケースにおいて、さらに罪状の重いことを確認した時に、特にいくつかの疾病に関して、その罪がすでに時効で消滅していたということが、我々には実際あり得る。例えば悪性胸膜中皮腫は石綿粉じんに暴露されてから数十年という期間後に明らかになる。そして、その疾病が病理学によって成り立ったとき、刑法第437条に規定された罪は常に時効に掛かるという結論になるだろうことに気がつくであろう。」と述べた。

次に第434条について見てみよう。この条文は公共の安全に損害を与えることに関する規定であるようだ。
 もう一度条文を見てみよう。
「先の条項から予想されたケース以外で、建造物の一部もしくは全部の倒壊や、その他の災害を引き起こす行為を直接におこなった者で、この事実によって公共通信施設に対して危険を生じさせた場合は、1年から5年の禁固刑に処する。以上の事実によって建造物倒壊あるいは、それにより災害を起こした場合は、3年から12年の禁固刑に処する。」

判決では、まずこの条文の第1項にある「その他の災害」について、「立法者は、大虐殺、火事、洪水、山崩れあるいは雪崩、遭難、飛行機事故、鉄道事故、更に、運送・発電所・ガスの施設や公共通信施設などの安全に対する侵害などについて規定したばかりでなく、これら災害についての危険、まだ命名されていない危険についてもその処罰可能性を強調したのだ。」としている。つまり、この「その他の災害」は条文には具体的には書かれていなくて明確な形になってはいないが、そのようなものを含むと解釈した。

さらに「検察官は、最高裁判所の2007年の4675号判決によって評価されたことからヒントを得て、犯罪行為の事実よりも、犯罪者の行為を重視した。未だに継続しているが故に、罪は未だ完成したとは評価することはできないと考えている。」と検察官の意見を紹介した。その上で、「何回か引用されている最高裁判所の二つの災害類型を明確にしたマルゲラ港の石油化学に関する判決についてである。つまり建物の倒壊のように瞬間的に生じる災害と、非常に長い期間をかけて進展する災害、例えば不特定多数の人が生活環境及び労働環境において発がん性物質に曝露されたままでいるというような災害の二つの類型である。」といたうえ、この判決には「2番目の類型のケースにおいては災害についての罪は継続するという本質を有する、それ故、災害という事実が継続している間は時効は進行しない。しかし当然のことながら、災害の事実が犯罪者の継続する行為の効果が発生するための時間において継続しているという条件が必要である。それ故、刑法158条第1項のために、時効の終期は継続犯については、継続する行為が終了した日から時効は進行するのであって、このような終期は災害という事実が犯罪者の行為の効果のために継続している間は進行しない。」とした。

ところで、引用したトリノ地裁判決が引用したポルトマルゲラ訴訟にあるマルゲラ港は、ヴェネツィア島の陸側にある工場地帯で、おそらく石油コンビナートかと思われるが、ここには、たくさんの石油備蓄のタンクがあり、石油精製工場が立ち並んでいる。そのためベネタ湾の水質汚染や地盤沈下の元凶ともされている場所でもある。

以上、トリノ地裁は、刑法第437条及び刑法第434条について、いずれも犯罪行為自体は終了しても犯罪行為の結果が確認されるまでは時効は進行しないという結論を出したのである。

弁護士 渥 美 玲 子
   
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2014年12月09日

トリノのアスベスト判決 7

イタリアの風
            トリノ アスベスト判決 7

 2014年11月19日の最高裁判所の判決は、イタリアの新聞各紙によれば、消滅時効を根拠にして、有罪判決も損害賠償もすべてを取り消した、ということである。

この記事を書いている2014年12月5日の段階では、私は最高裁判所の判決文を見ることができないので、判決理由の正確で詳細な事実は私には分からない。
実はイタリアでは判決文は判決言渡しの直近の日に交付されるわけではない。日本であれば言渡しの数日後には判決理由も書かれた裁判書の謄本をもらうことができるが、イタリアではそうでもない。例えば、トリノ地方裁判所の判決は2012年2月13日だったが、その判決理由が書かれている判決書が交付されたのは5月頃だったし、トリノ高等裁判所での判決は2013年6月3日だったが、判決理由が書かれている判決書が交付されたのは9月頃だった。従って、イタリアでは判決があった日から通常3ヶ月くらいでようやく判決理由の詳細が分かるということである。

新聞各紙によれば、最高裁判所では、検事総長が公訴の消滅時効について、2012年の地裁判決時にはすでに完成していたかどうかについて明確にするよう主張したとしており、また最高裁判所の副検事であるフランチェスコ ヤコビエッロも、故意による環境破壊罪について消滅時効が完成しているかどうかを明確にするよう求め、「裁判官は法律と公正の狭間にいるが常に法律に従う義務を負う。しかしこのケースでは法律と公正は反対の道を進んでしまった。」と述べたという。
 なお、第1審及び第2審ではグァリニェッロが検察官として審理に関与していたが、最高裁判所では担当しなかったという。また、同じ検察官の立場にありながら、最高裁の検察官がグァリニェッロの意見と異なる論告をしたのは一体何故か、不明である。

ところで被害者側の弁護士が説明したところによれば、検察官の主張は「環境破壊の罪の公訴期間は12年であり、このケースに当てはめれば、エテルニトが破産した1986年に消滅時効が始まり、12年後の1998年に時効が完成した」というものである。
トリノ地方裁判所に起訴がなされたのは2009年で、第1回公判が行われたのは2009年12月、判決は2012年2月にあったという事実関係にあるから、起訴した時点ではすでに公訴時効は完成していたものと言えよう。当時の検察官グァリニェッロも当然、このことは認識していたと思われる。にもかかわらず彼が起訴に踏み切ったのは、私の推測によれば、そもそも公訴時効の開始時期は1986年ではないと考えていたか、あるいは、このように被害者が多数に上る場合には12年という期間を定めた規定は適用されないと解釈していたかであろう。
しかし、地方裁判所も高等裁判所もこのような時効についての論点があうることを十分に知りながら、検討した上で、時効の適用をしなかった。従って、起訴を決定した検察官のグァリニェッロの判断ミスだとは単純には言えないのではないか。

地裁判決の判決文では、「時効の終期」という項目で20ページに及ぶ記述があるので、とても全部を翻訳して理解することはできないが、いずれにしろ、相当なページを割いて論じていることは明らかである。ところで地裁判決をみると被告人に対して適用される条文は、以下に記載したような刑法第434条と刑法第437条だった。

第434条
 「先の条項から予想されたケース以外で、建造物の一部もしくは全部の倒壊や、その他の災害を引き起こす行為を直接におこなった者で、この事実によって公共通信施設に対して危険を生じさせた場合は、1年から5年の禁固刑に処する。
 以上の事実によって建造物倒壊あるいは、それにより災害を起こした場合は、3年から12年の禁固刑に処する。」

第437条
 「業務上の災害や事故を予防するための施設、機械あるいは標識を設置することを怠り、あるいは、それらを撤去し、もしくはそれらの使用目的を損なうような行為をした者は、6ヶ月以上から5年の禁固に処する。
以上の事実によって災害あるいは事故を引き起こした場合は、3年から10年の禁固刑に処する。」

この2つの条文には「環境」という言葉が出てこないので、本件について新聞各紙が書いているように「環境に対する罪」とはすぐには分からないが、「災害」「事故」という概念には環境破壊やそれに起因する生命の危険性なども包含されると思われる。
イタリアに限らず外国の法律を理解するのはとても難しいと思った。

弁護士 渥 美 玲 子
   
posted by 金山総合法律事務所 at 17:40| イタリアの風

2014年12月08日

トリノのアスベスト判決6

イタリアの風
            トリノのアスベスト判決6
     
いままで、2012年2月13日のトリノ地裁判決および2013年6月3日のトリノ高等裁判所の判決について書いてきたが、2014年11月19日遂に最高裁判所の判決が出された。

ところでイタリアの最高裁判所は、ローマのテベレ川河畔にあり、あの有名なサンタンジェロ城の近くにあり、ナボナ広場からウンベルトT世橋を渡ると真正面に見える。正面の壁面には大きな彫刻があり、上部に「CORTE DI CASSAZIONE」と書いてあるので、すぐに裁判所だと分かる。また建物の内部は、壁や天井までもが彫刻や絵画であふれている。日本の最高裁判所の建物とはずいぶん違うと思われる。

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最高裁の判決は、イタリア新聞各紙を見ると「すべてが取り消された。有罪判決も損害賠償も」ということで、その根拠は、「消滅時効」ということだ。日本的な表現を使えば、刑事訴訟法の公訴時効の期間が完成したということで免訴の判決が出されたということになるのだろうか。
取り消されたという判決は、被告のスイス人元経営者シュミットヘーニー氏に対する18年の禁固刑、及び被害者や自治体に対する損害賠償義務を認めたトリノ高等裁判所での判決である。
大法廷にいた被害者の家族は言い渡しが終わると「恥を知れ、不正義だ」と口々に叫び、また泣き出す人もいた。また用意していた「正義は行われた」と書いてあった横断幕に、「不」を手で付け加えた人もいた。またピエモンテ州知事は「深い義憤を感じる」と述べた。さらに首相のレンツィは「このような時効という悪夢はもう十分だ。法律を改正する必要がある」とコメントした。なお、法律改正案はすでに提案されてはいるものの、未だ上院の同意がないため、下院にて店ざらしにされていると言う。
しかしトリノ地方裁判所での第1審と、トリノ高等裁判所での第2審を担当した検察官のグアリニェッロは「諦める必要はない。有罪判決はある。被告は無罪になった訳ではない。私達は次は殺人罪で幕を開けよう」と言い、さらに石綿粉じんを吸入したことにより肺がんなどで死亡した人が2000人以上いる、と言及したという。

他方、刑務所の収監と多額の賠償義務から解放された被告のシュミットヘイニー氏は、「我々は、石綿加工について安全な方法を採用したパイオニアだった。スイス人企業家はトリノ裁判所の私に掛けられた不正義は、『陰謀の論理だ』と言っている」とし、イタリアに対し「これ以上間違った訴訟がないことを期待する」と付け加えたという。さらに同氏は、話を進め「訴訟においては法律が無視された。正しい裁判という基本が損なわれた。エテルニトが操業していたのは、わずか10年くらいの期間であるし、それどころか、この間、利益がほとんどなかった。イタリアは『石綿による大惨事』について、一人の人間だけを相手にするという訴訟を起こしたたった一つの国である」などとコメントした。

その後の新聞報道などを見ると、この最高裁判決は知識人の意見を二分したようである。

渥 美 玲 子
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2014年10月30日

トリノのアスベスト判決5

イタリアの風
          トリノのアスベスト判決5

1,トリノ高裁判決
すでに2012年2月13日のトリノ地裁判決について簡単に紹介してきたが、その後控訴され、2013年6月3日にトリノ高等裁判所の判決が出た。
 高裁の判決では、被告人1人(エテルニトの元経営者のスイス人のシュミットヘイニー氏)に対する判決はなんと禁固刑18年だった。地裁判決よりも刑期が2年長くなったのである。なお、地裁段階では被告人は2人だったが、うち1人が死亡したので1人になった。
 また損害賠償責任については、判決は、被害者に対して1人3万エウロ(1エウロ130円で換算すると390万円)などの支払いを命じたが、被害者は約930人いるようなので計2790万エウロ(約36億2700万円)となる。それ以外に、ピエモンテ州に2000万エウロ(約26億円)を、カザーレモンフェラート市に3090万エウロ(約40億円)を、など自治体に対する支払いを命じた。このように自治体に支払いがなされるのは、アスベストの除去費用、治療費、研究費などとして役に立つという。
 現在イタリアの最高裁判所に係属しているということだから、そのうち最高裁判所の判決がでるだろう。

2,イタリア国内での影響
 当時の新聞(イルファット・クオティディアノ紙、ラ・レプッブリカ紙など)によれば、この判決を受けて検察官グアリニェッロは「この判決は決して夢なのではない。人生に対する賛歌であり、夢が実現したのだ」、「裁判所によって認められた故意による環境破壊罪は、労働者のためだけではなく、すべての住民に関するものだ」と発言したという。
 そして、彼は、「この判決はターラントでのできごとや、訴訟を待っている他の地域に対しても大きな未来を開いた。この判決で終わった訳ではない。また世界中にこの判決の影響を与えるべき重要な判決である。以前は世界中のどこでもできなかったことが、ここイタリアでは私達は訴訟をすることができたのだ。」と強調した。
なお、ターラントはイタリア半島の南にある大きな都市であるが、ヨーロッパ最大と言われる製鉄所(ILVA)があるほか、石油精製工場、化学工場、造船所、アスベスト製造工場などもあり、地域に対する環境破壊は大きいと言われている。またイタリアのその他の地域でも環境破壊があるとされている。

3,アメリカ合衆国への影響
ところでこの訴訟で問題になっているエテルニトという会社はアスベスト製造販売の国際的多国籍企業であるが、欧州だけではなく、アメリカ合衆国でも被害者を出している。
アメリカのアスベスト被害の状況については、2006年度(平成18年度)の「主要先進国における石綿健康被害に関する調査報告書」(東京海上日動リスクコンサルティング株式会社)にて詳細に報告されている。
 この報告書によれば、同国では労災補償制度が十分機能していないため訴訟が多発しており、2002年までには約73万件の訴訟が提起され、少なくとも8400社の被告がおり、訴訟による補償額は700億ドルになるという。このため破産する会社が多発し、これにより職を失う労働者も多発しているという。さすが訴訟社会と言われる国である。そして、アスベスト被害に関連して企業が破産するという道を開いたのが、ニュージャージー州にある「ジョン・マンビル社」と言われている。このマンビル社は、世界最大のアスベスト生産・アスベスト製品製造会社であり、日本にも大量のアスベストを輸出しているうえ、1957年(昭和32年)には株式会社クボタ(旧・久保田鉄工)と技術提携をし各種スレートを発売していた。また、日本のトヨタ自動車と同様、会社名を都市名(マンビル市)にさせたという影響力のある大会社だった。

ところで2014年7月2日、アメリカ合衆国ニュージャージー州の高等裁判所でひとつの判決がだされた。なお、この判決は被告が欠席したとの理由で最終審で上訴することができないという。
 ジョン・マンビル社は石綿セメントチューブを製造していたが、そこで働いていた労働者が青石綿(クロシドライト)に曝露されたために中皮腫に罹患したという事案において、裁判官は、中皮腫で死亡した11人の遺族に対し9050万ドル(1ドル100円で換算すると90億5000万円)を支払うようアノヴァホールディング株式会社とベーコン株式会社に対して命じたという。
ところで被告となったこの2つの会社は、かつて1950年から1980年の間、ジョン・マンビル社にアスベストを販売したもののすでに再生法により事実上破産したエテルニット社を引き継いだ会社である。この2つの会社の実質的経営者はトリノ裁判所で有罪判決を受けたシュミットヘーニー氏だという。しかも前記トリノ高裁の判決ではこの2社は民事賠償責任があると判断されていた。そのため、裁判官は、同人が有罪とされたトリノ裁判所の判決を参考にしたという。
このようにイタリアのエテルニトの訴訟は、アメリカ合衆国でも大きな影響を与えたのだった。なお、この判決はイタリアだけではなくアメリカ合衆国でも評判になり、ネットで見ることができる。

4,トリノ判決の行方
イタリアのトリノ判決は、エテルニトの元経営者およびエテルニトを承継した企業を被告として提起された訴訟であるが、判決で認められた損害賠償額は多額であり、また被告の個人や企業はイタリア国内に本社や国籍を有していないため、これを実際に支払わせることは困難を伴うと思われる。承継した上記2社もトリノ判決だけではなく、アメリカでも賠償責任を負ったため、すべての支払いが可能であるかどうか不透明である。
 これら勝訴判決によって実際に被害者に対し賠償金が完全に支払われるまでは、手放しでは喜ぶことはできないだろう。

弁護士 渥 美 玲 子
posted by 金山総合法律事務所 at 11:40| イタリアの風

2013年11月05日

日本は159位

両性の平等
           

先回は、世界経済フォ−ラム(WEF)が「国際男女格差レポート2013」でジェンダーギャップ指数を発表し、日本は136ヶ国中105位になったことを書きました。
 実は日本にはもっと低いランクがあるのです。
 2013年3月に列国議会同盟(IPU)が発表した調査によれば、2012年の国会(二院制の場合は下院)における女性議員比率は188ヶ国中159位でした。

括弧内に女性比率を入れて、順位をみてみましょう。なおIPUの発表では同率の場合でも後順位を複数処理しないので、この点は変えました。

 上位10位の状況は、1位ルワンダ(56.3%)、2位アンドラ(50.0%)、3位キューバ(45.2%)、4位スウェーデン(44.7%)、5位セーシャル(43.8%)、6位セネガル(42.7%)、7位フィンランド(42.5%)、8位南アフリカ(42.3%)、9位ニカラグア(40.2%)、10位アイスランド(39.7%)となっています。
さらには、11位ノルウェイ(39.6%)、12位モザンビーク(39.2%)、13位デンマーク(39.1%)、14位エクアドル(38.7%)、15位オランダ(38.7%)、16位コスタリカ(38.6%)となっており、めぼしいところでは、21位スペイン(36.0%)、29位ドイツ(32.9%)、34位イタリア(31.4%)、44位フランス(26.9%)、64位中国(23.4%)、68位イギリス(22.5%)、83位パキスタン(20.7%)、97位アメリカ(17.8%)、124位ロシア連邦(13.6%)、そして、日本は159位(8.1%)だそうです。
そして世界の平均は20.3%だそうです。
 IPUによれば、ルワンダなど上位国において近年の女性議員が増加している原因はいわゆるクオータ制の導入によるものと分析されています。
 1位になっているルワンダの下院は80議席中、女性は45議席を持っています。しかし、80議席のうち24席が女性特別枠、さらに3議席が青年障害者枠になっています。ですから45議席から24議席を差し引いた除いた残21議席は女性が男性と互角に戦い取った議席だということです。つまり2種類の特別枠を除いた議席は53議席ですから、仮に女性特別枠がなくても53議席のうち21議席は選挙にて勝ち取ったことになり、39.6%になります。立派なものです。
 なお、このランキングによれば日本の衆議院議員480人のうち女性は39人として計算されていますが、実は内閣府が発行した男女共同参画白書によると2012年12月当時の女性議員数は38人なので、7.9%になります。よって、7.9%で160位のボツワナが上がるので、日本は同順位の159位です。

ところで、先回紹介しました世界経済フォ−ラムのランキングでは、日本は総合105位であったのですが、政治的影響力の分野では118位でした。2012年のこの分野でのランキングでは111位だったのが、さらに118位に落ちたのは、昨年の総選挙で、大きく女性議員が減ったからです。
昨年2012年12月16日、衆議院総選挙が行われました。皆さん、ご存じのように、2009年の総選挙以来与党だった民主党が大敗し、自由民主党が大勝しました。この選挙で、それまで54人いた女性議員が16人も減り、38人になってしまったのです。民主党には女性議員が比較的多くいたのですが、自民党は女性議員を増やす考えがありませんでした。このように、どの政党が女性差別解消政策をとっているのかは重要です。
また、衆議院は全体で480議席ありますが、そのうち300議席は小選挙区で当選議員は1人に限定されます。残180議席は比例区で全国を11ブロックに分けて行われます。そして昨年12月の総選挙結果における女性比率をみると、小選挙区では300人の内女性は20人(6.6%)ですが、比例区では180人のうち18人(10%)が女性でした。このようにどのような選挙制度を採用するかによって、議員の女性比率は容易に変更できるのです。
現在自民党はわずか180議席しかない比例区をさらに減らすことを提案していますが、これが実現してしまったら、現在の日本の状況では、さらに女性の議員比率は少なくなることは必至であり、ランクはもっと下がるでしょう。

ちなみに安倍総理は、首相官邸のホームページで、「女性が輝く日本へ」と題して政策を発表していますが、その政策は、「待機児童の解消」、「女性役員・管理職の増加」、「職場復帰・再就職の支援」、「子育て後の企業支援」の4つしかなく、国会における女性議員数の増加や、女性の政治に対する影響力の増加などまったく視野にないようです。

なお、ランキング表は誰でもネットで見ることができます。

                         弁護士 渥 美 玲 子
posted by 金山総合法律事務所 at 14:23| 両性の平等